製品安全

Vol.16  2月10日号「誤使用事故防止セミナーの反響」

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====================2006.2.10 Vol. 16===================
┌─────┐
│PSコラム│
└─────◆───────────────────────────┐
      │      誤使用事故防止セミナーの反響       │
      └───────────────────────────┘

◇NITEは昨年5月31日に誤使用事故防止ハンドブックを公表し、社会に
 対して誤使用事故防止セミナーを行うことを宣言した。誤使用事故防止セミ
 ナーの開始から8ヶ月、果たして結果はどうだったのか。その反響やNIT
 Eが体験した話をご紹介することとしたい。当初、セミナーの回数も10~
 20回程度だろうと予想していたのだが、なんと延べ52回にものぼった。

◇ある会場でこんな話を聞いた。ここは、戦後、疎開工場から出発した市内で
 も有数の工場。今から数年前、出荷した製品の不具合で回収騒ぎになった。
 会社は痛手を受け、全社員を総動員して回収にあたり、信用回復に努めたそ
 うだ。これがきっかけで年に一度、社内で安全研修を行うようになったのだ
 という。これには感動した。

◇別の会場ではこんな話もあった。「会社の入り口に回収騒ぎを起こした製品
 を展示しようと考えています。会社に訪問する顧客に是非見ていただきたい
 のです。社員もこの事故をいつでも見られるようにし、事故を風化させない
 ようにしたいと考えています」。また、別の会場では、「回収された事故品
 を後世まで残すためにフロアーに展示している。二度と回収騒ぎを起こさな
 いように年に1回研修会を行うようになった。他社ではこの部分をプラスチ
 ックで作っていますが、我が社では燃えないように鉄にしています」。この
 話にも感動した。

◇ある日、NITEに説明会の依頼があった。「誤使用事故防止セミナーを聴
 いた社長が感動したと言っている。我が社にも是非説明に来てきてもらえな
 いか?」、「協会の委員会メンバーだけで聴かせてもらった。大変良い話だ
 ったので、我々だけではもったいない。当協会会員に是非聴かせたい。東京、
 大阪で行うセミナーで講演をお願いできないか」。説明している側としては
 このうえもなく有り難い話である。

◇誤使用事故防止セミナーでNITEの担当者や相手が感動した話はあげれば
 きりがない。誤使用事故防止ハンドブックに流れる考え方は、どうやらNI
 TEと社会に感動を与えているらしい。
                              (編集子)

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                目次 
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1.消費生活用製品の事故防止について
    第16回(最終回)「誤使用事故防止の考え方のポイント」
2.事故情報 
   ・消費生活用製品の事故情報収集状況(1月23日~2月3日受付196件)
   ・配線器具による事故
   ・昨年3月に発生した事故の傾向
3.社告情報(4件)
4.編集後記
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        1.消費生活用製品の事故防止について
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    第16回(最終回)「誤使用事故防止の考え方のポイント」

これまで創刊号から連載してきた「誤使用事故防止の考え方のポイント」も
今回で終わりだ。組織としての対応(日頃からの取組み)がいかに重要か理解
いただけたと思う。それにしても、組織を動かし事故防止対策を打つ原動力と
なるものはなんであろうか。これは、トップが変わろうが時代が変わろうが変
化することがないもの。つまり、組織の経営方針を示した社是ではないかと考
えている。ジョンソン・エンド・ジョンソン社の経営姿勢を表した社是「我が
信条(Our Credo)」(抜粋)を紹介し本コーナーの締めくくりとしたい。

◇ジョンソン・エンド・ジョンソン社「我が信条(Our Credo)」(抜粋)
 ・「我が信条」は、1943年、当時の同社経営トップであるロバート・ジ
  ョンソン氏が草稿し、同社の経営理念として位置付けて以来受け継がれて
  いる社是である。ここで取り上げた第一の責任である顧客に対する責任に
  加え、第二の責任は社員に対する責任、第三の責任は地域社会に対する責
  任、第四の責任は株主に対する責任を含めた4つの責任を、全社員が共有
  する価値判断の基準かつ恒久的な企業活動の指針として掲げている。 

  a.我々の第一の責任は、我々の製品およびサービスを使用してくれる医師、
   看護師、患者、そして母親、父親をはじめとする、すべての顧客に対す
   るものであると確信する。
  b.顧客一人一人のニーズに応えるにあたり、我々の行なうすべての活動は
   質的に高い水準のものでなければならない。
  c.適正な価格を維持するため、我々は常に製品原価を引き下げる努力をし
   なければならない。
  d.顧客からの注文には、迅速、かつ正確に応えなければならない。我々の
   取引先には、適正な利益をあげる機会を提供しなければならない。

      < S.N > 
 
          「消費生活用製品の誤使用事故防止ハンドブック」より
  ☆前回までの記事はこちらです→ http://www.jiko.nite.go.jp/psm/ 

 ◆◆◇ 次号から、新連載「事故100選」を始めます ◇◆◆

 創刊号から連載してきた「誤使用事故防止の考え方のポイント」が今号で最
終回を迎えました。ご愛読いただきましてありがとうございました。
 次号からの新連載は「事故100選」を予定しています。NITEで原因究
明をした事故事例やその他の製品事故事例の中から、社会の役に立ちそうなも
のを選んご紹介していきたいと思います。「誤使用事故防止の考え方のポイン
ト」と同様、ご愛読いただきますようよろしくお願いいたします。

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              2.事故情報
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◆◆◇ 消費生活用製品(*)の事故情報収集状況 ◇◆◆ 
       (1月23日~2月3日受付196件)

 NITEに通知のあった事故の傾向を見るために、上記期間内で、収集件数
 の多い5製品を掲載しています。なお、事故原因については現在調査中です。
                 
    製品名(事故状況と件数)        [前号比(件数±)]
 =============================================================
  1. ガスこんろ    (火災等   19件)   [± 0]
   . 石油ストーブ   (火災等   19件)   [-13]      
  3. ストーブ     (火災    17件)    [+ 5]
   . 電気ストーブ   (火災等   17件)   [- 3]
  5. 貯金箱(*1)    (切り傷   10件)   [+10]

  (*)消費生活用製品:一般消費者が生活において使用する製品。
  (*1)コイン投入口で指を切った同一製品による事故です。

◆◆◇ 配線器具による事故 ◇◆◆
 
 配線器具(延長コード、テーブルタップ、コンセントなど)による事故(*)
は、平成15年度50件、平成16年度50件です。両年度とも事故原因で最
も割合が高いのは、消費者の誤使用、不注意による事故(58%)でした。

  (*)NITEに平成15年度、平成16年度に通知されて調査が終了し公表
   している事故情報(平成17年度第2四半期報告分まで)。

 ◇消費者の誤使用、不注意による事故事例

 【コードに無理な力を加えた使用】
 
  ・ふとん乾燥機を使用中にベッド付近から出火して居室を焼損した。
  ------------------------------------------------------------------
  →布団乾燥機に発火の痕跡は見られず、乾燥機を接続してベッドの下に這
  わせていた延長コードのコード中間部分に断線、溶融痕が確認された。当
  該部分に著しいコードのねじれが見られたことから、コードに繰り返し屈
  曲が加わったか、ベッド脚部の下敷きになって折れ曲がっていた等により、
  断線、スパークし、出火したと推定している。

  ☆コードをベッドなど家具の下敷きにした事故事例や、引き戸に延長コー
   ドを通して使用し、戸の開閉でコードが半断線した事故事例もあります。
  ☆コードに重いものを置いたり、無理な力を加えないようにしてください。

 【定格電流(使用できる電気容量の合計)を超えた使用】

  ・住宅から出火して一部を焼き、家人が火傷を負った。
  ------------------------------------------------------------------
  →定格電流10Aの延長コードに、テレビ、電子レンジ、電気ポット、ク
  ーラーを、たこ足配線で日常的に使用していた。このように定格電流を超
  える機器を繋いで使用していたことと、さらに、延長コードが束ねた状態
  であったこと、コードの上に可燃物が覆い被さっていたこと、コードに溶
  融痕が確認されたことから、束ねた部分で発熱・発火し、可燃物に延焼し
  たものと推定している。

  ☆テーブルタップや延長コードは定格電流を確認して、ご使用ください。
  ☆コードを束ねたり、固く曲げて使用したりしないでください。

・・・‥‥…………………………………………………………………‥‥・・・
  ◆◆◇ 昨年3月に発生した事故の傾向 ◇◆◆ 

 平成17年3月発生の事故は、126件中62件(約50%)が『燃焼器具』
の事故でした。その次に、『家庭用電気製品』47件(約37%)、『乗物・
乗物用品』8件(約6%)でした。品名別では、石油ストーブが21件、ガ
スこんろ17件、配線器具12件と、多く報告されています。

 毎年冬に多く通知される石油ストーブの事故。今年度、10月~1月発生の
事故件数を見ると、前年度比約155%でした。特に12月は、平均気温が2
0年ぶりの全国低温(気象庁発表)となった影響か、前年度比約207%にな
っています。地域によっては、石油ストーブの事故は4、5月頃まで通知があ
ります。石油ストーブにかぎらず、今年の記録的な大雪で酷使した暖房器具に
は、くれぐれもご注意ください。
   
   ◇石油ストーブの事故発生月別件数 (1月31日受付現在)
           10月 11月 12月  1月 2月  3月
    平成16年度  5件 16件  30件 34件 31件 21件 
    平成17年度  8件 23件  62件 40件 -  - 
    (前年度比)  (160%) (144%) (207%) (114%)

■━━事故情報の検索━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
 
  NITEのHPでは、調査が終了した事故情報を検索できます。
  http://www.jiko.nite.go.jp/index3.html

■━━製品の事故情報をお寄せください━━━━━━━━━━━━━━━━■

  NITEでは、暮らしの中で起こった製品の事故情報を集めて調査し、
 その結果を公表して製品事故の未然・再発防止に役立てています。
 
 【事故情報収集制度概要】 http://www.jiko.nite.go.jp/index2.html
 【通知様式】 http://www.jiko.nite.go.jp/index10.html(Word版・PDF版)
 【送付先】 mailto:[email protected] Fax 06-6946-7280
【問い合わせ先】 mailto:[email protected]

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              3.社告情報
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◇平成18年1月18日 株式会社グロバリー 「電気ボイラー 」
 内部回路の接触不良が原因により本体内部配線の一部が焼損する不具合が発
生した。(無料点検・修理及び部品交換)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20060118.html

◇平成18年1月26日 本田技研工業株式会社/三菱農機株式会社/石川島
            芝浦機械株式会社/和同産業株式会社 「除雪機」
 ワイヤーハーネスの取り廻しが不適切なため、ACジェネレータと強く干渉し
ているものがあり、アース配線の被覆が擦れて電磁クラッチアース配線が短絡
し、エンジン運転状態においてオーガスイッチに関係なく突然オーガが誤作動
するおそれがある。(無償で点検・修理)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20060126.html

◇平成18年1月27日 株式会社トミー 「玩具(わたあめ製造機)」
 使用時、本体内部より発火するという事故が発生した。(製品回収)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20060127.html

◇平成18年1月31日 株式会社トミー 「玩具(わたあめ製造機)(再社告)」
 一部の製品に使用時、本体内部より発火する可能性があるとして平成18年
1月27日に社告を行ったが、その後全数について商品仕様表示と異なる部品
が混入している可能性があることが判明した。
(平成18年1月27日に行った社告の再社告)(製品回収)
【詳細】 http://www.nite.go.jp/jiko/shakoku_index/20060131.html

■━━━NITE社告情報のページ━━━━━━━━━━━━━━━━━━■

 【過去半年間の社告】 http://www.jiko.nite.go.jp/index4.html
 【社告の検索】 http://www.jiko.nite.go.jp/index5.html

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              4.編集後記
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 先週は、風邪を引いて39度の熱がでてました。よりによってその最中、我
が家の中心的存在(?)の石油ファンヒーターが突然止まりました。エラー表
示を取扱説明書で確認すると「故障です」と明確な答え・・・。再点火できる
状況でしたが、事故につながるかもしれないとがまん。説明書の指示どおり電
源プラグを抜いて、修理に来てもらうまでの1週間凍える思いで過ごしました。
結局、部品が経年劣化で曲がっていたとのこと。また元気に活躍してくれてい
ます。

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TEL:06-6612-2066  FAX:06-6612-1617
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